
小売業で資金ショートが起きてしまう理由とは?
小売業は、卸売から仕入れた商品の販売、それに伴うサービスを提供することを生業とするものです。
小売業を営む中小企業は数多く存在しますし、仕入れを制限すれば資金ショートは起きにくいのでは?と思われています。
一つ一つの商品は少額なので売掛金の回収にも問題がありませんし、売り上げの要となるのは最終消費者への商品販売なので、すぐに回収ができて資金には困りそうないからです。
しかしそんな小売業にも資金ショートは起きてしまいます。
多くの業界ではサービスと入金の時間差が原因になることが多いのですが、小売業の場合は赤字や在庫が直接的な原因になり得るのです。
小売業では単価の低い商品の取扱が多いため、消費者に大量販売する必要があることから、その分だけ在庫を抱えておかなければいけません。
在庫が増えれば増えるほど、管理する土地や倉庫や人件費にかかる費用もかかります。
しかも消費者のニーズは時によって急増したり、減少したりと予測が付けづらく、売れたとしても一人あたりの消費者から得られる利益が少ないです。
このように、小売業では業界の性質上、資金ショートが起きることがあります。
そんなときに、ファクタリングを有効に活用すれば状況を打開することができるのです。
この記事では、小売業の事業特性を詳しく説明し、ファクタリングを利用するメリットや実際のファクタリング活用例を紹介していきます。
小売業の事業特性
小売業の事業特性を理解するためには用取引の仕組みから説明していきます。
小売業は、基本的に一般消費者を対象として物の販売やサービスの提供を行う会社を意味しています。
個人への販売が主である小売業においては掛売りがほとんどなく、販売した商品や提供したサービスの対価は基本的にその場で回収することができるので、運転資金に困るということはなく、他業界と比べると資金繰りが困難になることは珍しいです。
しかし、赤字と過剰在庫になった場合には資金がショートする可能性があります。
そもそも「小売り」は各々の消費者に向けた単位製品に対して、小分けにして販売するという意味。
小売業におけて販売相手は個人しかいないので、売上は顧客数×単価によって計算されます。
つまり、小売業においては、顧客に対してどれだけの商品をいくらで販売したかが重要です。
売上に必要な要素である顧客数と単価はコントロールが難しく、需要の急増に対応できるように在庫を準備しておく必要もあります。
在庫は売り上げを作り出す重要な存在であるとともに、資金の滞留という一面も持ち合わせているのです。
お金も使って初めて価値がでるように、在庫も販売して初めて利益となります。
さらに、在庫として商品を抱えていると、盗難・破損・陳腐化などによってその価値は徐々に減少します。
仕入価格よりも販売価格の方が安くなってしまい、利益がでずに結果として赤字に転落してしまうことがあるのです。
在庫過剰や赤字になると資金繰りが悪くなり、仕入れにかかる費用が払えくなる可能性も存在しています。
そんなときに頼れるのがファクタリング。
以下では、小売業がファクタリングを利用するメリットについて詳しく説明していきます。
小売業がファクタリングを利用するメリット
小売業の場合には、売掛金回収の心配はありませんが、在庫を抱えると資金ショートのリスクが高いと説明してきました。
どれくらいの商品が売れて、どれくらいの商品が残っているのか?
次に商品が納入されるのはいつか、どれくらい商品が売れそうかなどを予測することは非常に困難です。
どんなに在庫管理をしても、不可避的に意図しない数量に膨れていることもあるのです。
そこで資金調達に役立つのがファクタリングです。
ファクタリング売掛債権がないと利用できないのでは?とお考えの方も多いでしょうが、実は他の使い道があるのです。
売掛債権がない小売業者というと、最終消費者に商品を販売する電気店・家具屋・洋服販売店・宝石店などを挙げることができます。
これらの業種では大口の法人と取引がない限り、売掛債権を所有していることはありません。
ただし在庫は大量に余っているという事実がある。
そこでファクタリング会社と契約すれば在庫を譲渡することも可能なのです。
在庫をファクタリング会社に譲渡すれば不良在庫を会社からなくすことができるので、その管理にかかっていた費用や処分費用を節約することができますし、ファクタリングによって資金を得ることができます。
ファクタリングは、抱えている在庫をファクタリング会社に譲り渡し、滞留している在庫を流動化するための仕組みなので、借入金ではなく弁済の必要もないことも大きなメリットです。
ファクタリング活用事例
ここまでは、小売業の事業特性やファクタリングの活用方法、小売業においてファクタリングを活用するメリットなどについて詳しく紹介してきました。
ここからは、小売業に属する事業者が実際にファクタリングを活用した具体的な事例を紹介していきます。
ファクタリングを活用して新しい設備に投資ができた
当社は呉服のレンタルと小売業を行っている会社で、その当時和服離れから赤字ではあったものの、卒業式の需要は続いていたので資金繰りとしては安定していました。
ただ外部環境は刻々と変化しており、他社との競争も激しくなっていたことから、新しく事業を起こしたいと考えてしました。
でも新規事業へ投資をするためのまとまった資金がありません。
設備投資のための資金を融資して欲しいと銀行に相談したところ、現在の状態では融資はできないと断られてしまいました。
他社との競争も激しくなっていたことから、値段を引き上げることも難しく、値段を引き上げると従来からの消費者が他社に流れてしまう可能性もあったので、現状維持で経営を行うしかありませんでした。
そこで利用したのがファクタリングです。
ファクタリング会社で資金調達ができることは友人から聞いていたので特に不安もなく申込をすると、在庫として残っている呉服の買取か売掛債権の譲渡、どちらも選べると伺いました。
ただ、残った在庫はレンタルとして貸し出せるので、総合的に考えて売掛金を譲渡して資金調達することになりました。
ファクタリングを活用したことによって、資金を作ることができ、今では新規事業も順調に業績をのばしています。
新規事業が好調のため、従来の事業でも安定した経営ができるようになり、経営状態は大きく改善できて赤字からも脱出することができました。
小売業でなかなかファクタリングを活用しているという会社はありません。
まだまだ小売業でファクタリングが浸透していないからです。
しかし、当社のケースが示しているように、在庫を使ってファクタリングを行うことで資金繰りを改善することができますし、財政状態も改善することができます。
ファクタリングを活用して在庫を資金にして資金繰りが改善!
当社は在庫管理を徹底し、売上を予測してきちんと商品を管理していたつもりでした。
しかし、売上の予測が大きくはずれてしまい、不良在庫を抱えてしまいました。
在庫として抱えていた商品は当時流行したものであったため、その分販売できると思って大量に仕入れをしましたが、流行が終わるのも早く販売数が思うように伸びなくなってしまったのです。
今後もその商品が売れる見込みは残念ながらなく、倉庫に保管しておけばおくほど商品の価値は陳腐化してしまいますし、保管のための場所や管理費用もかかっていました。
そこで当社では、ファクタリング会社にこの商品を譲渡することによって不良在庫を資金にすることに成功しました。
不良在庫の管理に係る費用も従業員もいらなくなったので、管理費用だけではなく、従業員をもっと他の重要な業務に配置換えすることができるようになったと思います。
借入金ではなく、同じ資産である棚卸資産が現金となるので、財務状態もずいぶん改善しました。
たしかに、在庫ファクタリングは比較的安い値段でファクタリング会社が商品を買い取ることになってしまいますが、早い時期にファクタリングを利用することを決断することができれば、管理費用などを節約することができるので結果的にお得なのではないかと考えています。
まとめ
小売業の場合でも、ファクタリングを上手に活用すれば会社の資金繰りを改善することができますし、財政状態を改善することができます。
小売業は、消費者から現金を直接手に入れることができる分、資金繰りが悪化しにくいと言えますが、恒常的な赤字によって財政状態が悪化していたり、不良な在庫を抱え続けてしまえば、将来的には確実に資金繰りが悪化してしまいます。
それを防ぐためにも、ファクタリングをうまく活用して会社の資金繰りを改善してみてはいかがでしょうか。