
よく聞く売掛債権流動化とは?サービスを簡単に紹介
資金繰りの改善に役に立つと考えられている売掛債権流動化。
売掛債権の流動化とは名前だけはよく聞くという方もおられるのかも知れません。
売掛債権を流動化する、つまり資金を動かすわけですが、その仕組みは複雑で手法も様々です。
そこでこの記事では、会社経営にかかせない売掛債権の流動化について詳しく説明します。
売掛債権流動化とは?資金調達のスキームと目的
資金繰りの改善策としても資金調達としても使えるのが売掛債権流動化の強みです。
そこで本章ではその仕組みと目的について解説していきます。
売掛債権流動化とは
売掛債権流動化とは、通常翌月や翌々月と言った支払いサイト通りに入金される売掛債権の流動性を高め、支払日前に現金化することをいいます。
企業は支払日前に売掛金を現金化できますので、キャッシュフローの改善に役立ちますし、資金繰りに悩むことも少なくなります。
メリットとしては、
- 取引先の倒産などによる資金回収が不能になるリスクを減らすことができる
- 優良な取引先ほど流動化できるため、取引先の信頼性を審査できる
- キャッシュフローの改善
- 資金に余裕ができる
売掛債権を早期に流動化することで、これらのメリットを得ることができます。
売上債権譲渡の目的
売掛債権譲渡の最大の目的は、経営状態改善に他なりません。
取引先が増えてくればその分売掛債権は溜まっていきますよね。
すると支払が増えていくのにもかかわらず、会社の血液ともいえる資金が回らない状態になってしまうことがあるのです。
そこで売掛債権を譲渡すれば、本来翌月または翌々月の支払日前に現金化できます。
流れに動きができるので資金繰りに悩むことがなくなるでしょう。
ここまで売掛債権流動化の概要と目的を紹介しましたが、次項よりその手法を説明していきます。
売掛債権を流動化する3つの方法
売掛債権流動化には様々な手法があります。
その中でも今回は主に利用される3つの方法を紹介していきます。
ファクタリング
ファクタリングとは、企業の持っている売掛債権を支払日前にファクタリング会社に譲渡し、早期に資金化することをいいます。
通常の商取引では、売掛金が入金されるのは翌月または翌々月ですよね。
しかしファクタリングを利用すれば即日にも現金化できるというメリットがあります。
ファクタリングについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてくださいね。
売掛債権証券化
売掛債権証券化とは、企業が保有している売掛債権を特定目的法人(SPC)に譲渡することをいいます。
ファクタリングと同じく、支払日前に現金化することができます。
SPCは、売掛債権の信用度に照らし合わせ、企業へ現金を支払います。
譲渡された売掛債権は、SPCによって投資家に証券として発行することで売掛債権の流動化ができるのです。
売掛債権担保融資(ABL)
売掛債権担保融資とは、その名のごとく売掛債権を担保に金融機関から融資を受けることをいいます。
ファクタリングは売掛債権を買い取ることをいいますが、売掛債権担保融資は「融資」であるという特徴があります。
融資をうけるということは当然ながら返済しなければなりませんし、万一返済できなくなった場合は売掛債権を使って弁済しなければなりません。
売掛債権を流動化するには「ファクタリング」「売掛債権証券化」「売掛債権担保融資」という三つの方法を紹介しました。
そこでこれらを利用することで会社の財政状態はどのように回復するのかを見ていきましょう。
オフバランスに有効!取引をするメリットとは?
売掛債権を流動化させるメリットとして資産のオフバランス化があります。
あまりオフバランスに聞き覚えがない方のために、この章ではオフバランス化について解説します。
バランスシートのオフバランス化
資産のオフバランス化とは貸借対照表に記載されている資産を資産の部から外すことをいいます。
売掛債権を流動化させると、売掛金(資産)が減ります。少ない資産で同額の利益を上げていることになり、ROA(総資産利益率)が上昇します。
ROAが上昇すると経営効率が良い企業と評価されますので、銀行やノンバンクからの評価が上がり、融資の審査にも通りやすくなるのです。
また、自己資本比率も上がるため経営が安定している、倒産しにくい会社として評価されます。売掛債権の流動化にはこれらのメリットがあります。
たとえば、銀行から融資を500万円受けるのと、500万円の売掛金をファクタリングするのとでは、ROAはどのように違ってくるのでしょうか。
売掛金:1,000万円
預金:500万円
利益:300万円
銀行から融資を受けると、現金として流動資産が500万円増えます。しかし、短期借入金として流動負債も増えることになります。
仮に例のように利益が300万円あるとすると、ROAは、
300万円÷1,500万円x100=20%
となります。
この売掛金1,000万円についてファクタリングを利用して資金化した場合もみていきましょう。
売掛金500万円
預金500万円
利益300万円
1,000万円あった売掛金をファクタリングによって500万に減らしました。その分現金で入金されるので預金が500万円に増えます。よってROAは、
300万円÷1,000万円x100=30%
となります。
これにより、同じ500万円でも融資で資金を増やすことと、ファクタリングによって資金を増やすことの違いが明らかになります。
利益額が同じであれば資産額が少ないほうがROAは上昇し、経営状態の評価がよくなります。
即日資金調達が可能に
売掛債権の流動化を行うことで資金調達としての機能も果たします。
特に、ファクタリングを利用するれば、最短即日の資金調達が可能になるということです。
特に開業間もない企業や中小企業にとって、売掛債権が早期に資金化できるメリットは計り知れないでしょう。
また資産のオフバランス化の章でもみてきたとおり、銀行融資よりファクタリングはROA(純資産利益率)が上昇します。
企業の評価が上がれば企業の信頼度が上がり、結果的に銀行融資を利用する際にも審査に通りやすくなるでしょう。
もっと詳しくオフバランスのメリットを解説していますので、以下の文章も参考にしてください。
>>ファクタリングのオフバランス効果についてhttps://xn--bck2ad3dwftfrc0547abbyceb2atb4c.net/factoring-offbalance/
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、リスクの影響を早期に管理していくことをいいます。
企業には様々なリスクが発生する可能性がありますよね。
取引先の倒産によって売掛金が回収不能になることもリスクのうちのひとつ。
売掛債権の流動化することによって売掛先が貸し倒れをしたとしても自社の経営に響かないようリスクマネジメントすることが可能です。
会社の規模に関わらず、いつでも起こりうる最大のリスクを回避するためにも売掛先流動化を積極的に利用していきたいものです。
最後に
いかがでしたか?
売掛債権の流動化としてファクタリング、売掛債権担保融資、売掛債権証券化の三つを紹介いたしました。
売掛債権を早期に現金化することで経営状態の改善につながりますし、ROAが改善されれば将来的に銀行融資も受けやすくなるので積極的に活用していきたいですね。