
資産のオフバランス化とファクタリングの関係
ファクタリングについて調べていると、オフバランスになることがメリットになると見かけるかと思います。
しかしファクタリングで資産をオフバランスすると具体的にどのように資金繰りが改善するのか、しっかりと概要を理解するのは難しいものです。
そこでこの記事では、資産のオフバランスとは何か、そしてファクタリングとの関係について分かりやすく解説していきます。
ファクタリングによるオフバランス化とは?
オフバランス化とは、バランス(貸借対照表)をオフする、つまり資産や負債を貸借対照表から減らすことをいいます。
ではファクタリングによるオフバランス化とは資産と負債、どちらを減らすことになるのか考えてみてください。
答えは資産の減少です。
でもここで新たな疑問が生まれるのではないでしょうか?
ファクタリングは資産の部にある売掛債権を資産の部にある現金にするのだから、結果的に資産の減少にはなっていないのではないか。
それもそうですよね。
この疑問を解決するには銀行融資との比較をすると概要がつかめるはずです。
通常、銀行から融資を受けたら、現金が資産に計上されるので総資産が増加します。
一方、資金調達をファクタリングで代用すると、もともと資産である売掛債権を現金にするだけなので、借入と比較すると総資産は増加せず、オフバランス化が図れるのです。
たとえば、売掛金が1,000万円あるとして、500万円を銀行から融資を受けた場合、次のような内訳になります。
例
売掛金 1,000万円
預金 500万円
⇒総資産1,500万円
借入時の仕訳はこのようになります。
銀行から融資を受けると、流動資産が500万円増えていますね。
では、この1,000万円の売掛金をファクタリングを利用して資金化した場合はどうでしょうか?
例
売掛金1,000万円
銀行融資なし
⇒総資産1,000万円
ファクタリング実行時の仕訳は以下のようになります。
借入をした場合は総資産が増加しているのに対して、ファクタリングだと資産の交換になりますので、総資産に変動はありません。
ファクタリングで資金調達をすればオフバランス化が図れるという具体例を見て頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
ファクタリングにおけるオフバランスの理解には、借入と比較をすると分かりやすいです。
以上、ファクタリングによるオフバランスの概要を説明してきました。
次項ではオフバランスによってどのようなメリットが得られるのかを紹介させていただきます。
貸借対照表から分かる債権譲渡を利用するメリット
総資産を減らすことによるメリットは、総資産利益率(ROA)の向上と、自己資本比率の向上が見込まれています。
とは言ってもそれでは言葉足らずな部分がありますので、これから詳しく紹介させていただきます。
総資産利益率(ROA)の上昇
総資産利益率という言葉はご存知でしょうか?
よく株式取引などで企業分析をするときに自己資本利益率(ROE)と総資産利益率(ROA)が重要になるという見解を耳にしたことがあるはずです。
総資産利益率は投資する企業を判断するときに重要になる指標ですので、ファクタリングで上昇させられるというのは目から鱗。
そこで以下では、なぜファクタリングを使うと総資産利益率(ROA)の上昇につながるのかを解説します。
ファクタリングのメリットを説明するにはやはり融資の借入と比較することが大切です。
まず、銀行融資を受けた企業の総資産利益率(ROA)をみていきましょう。
売掛金が1,000万円ある企業が、銀行から500万円の融資を受けた際の総資産利益率を計算すると次のようになります。
短期借入金 500万円
(総資産 1,500万円)※貸借のバランスは考慮していません。
当期純利益 200万円
ROA = 経常利益 ÷ 総資産
この計算式に当てはめると、200万円÷1,500万円=ROA 13%となります。
一方、売掛金が1,000万ある企業が、ファクタリングで500万円のみ売掛金を譲渡した場合は次のようになります。
預金500万円
売掛金500万円
(総資産1,000万円)※貸借のバランスは考慮していません。
当期純利益 200万円
ROA = 経常利益 ÷ 総資産
この計算式に当てはめると、200万円÷1,000万円=ROA 20%
となります。
同じ500万円の資金調達ですが、銀行融資に比べてファクタリングを利用すると総資産額が変わり、ROA(総資産利益率)が上昇していますね。
自己資本比率の上昇
自己資本比率とは返済が必要のない自己資本が全体の資本調達調達の何パーセントであるのかを表した数字です。
「自己資本÷総資本」で計算でき、自己資本比率が低ければ他人資本の影響を強く受けている不安定な会社、反対に自己資本比率が高ければ自己資本で経営ができている安定した会社という評価になります。
そんな自己資本比率を上げるには、他人資本を減らすか自己資本を増やすという二つの方法があり、ファクタリングを借入と比較すると他人資本を増やさない効果があります。
通常資金調達をする場合、株式発行をすることで自己資本を増やせるのですが、多くの企業が株式の発行をすることができないので、借入を選択するほうが多いかと思います。
しかし借入だと他人資本を増やしてしまうので、自己資本比率は減少します。
一方ファクタリングでは、売掛債権という資産から現金という資産への移動だけになるので、総資本には全く影響を与えません。
ファクタリングで自己資本比率を上げることができるという背景には、こちらもやはり「借入と比較して」ということがつきものなのです。
将来的に融資の資金調達もできる方法?
ここまでファクタリングには総資産利益率(ROA)の向上と、自己資本比率の向上が見込まれるとお伝えしてきましたが、どちらも経営の成績を高く見せてくれる効果があります。
経営がうまくいっているように見せられるということは、将来的に銀行や公的機関からの融資が受けられるということです。
ファクタリングを利用すれば今すぐに資金繰りを改善できるだけではなく、今後の銀行からの評価が上がり融資が受けやすくなるというメリットもあります。
最後に
いかがでしたか。
企業の価値を高める手段としての資産のオフバランス化。
借入で資金調達するのに比べて、ファクタリングにすれば沢山の利点を享受することができます。
資金調達と一緒にオフバランスできてしまうファクタリングは、まさに経営改善に一石二鳥で役立つといえますね。
少しでもファクタリングで資金調達をお考えの方は、ファクタリングの手数料相場についても合わせてご覧ください。