
わかりにくいファクタリング契約の意味を簡単に徹底解説
あまり聞き慣れない言葉「ファクタリング」。
英語では「factoring」と書きますが、どのような意味、そして語源はなんなのでしょうか。
ファクタリングの語源は英語の「factor」です。
ファクター(Factor)とは、大辞林の解説によると「要素」「要因」「因子」となります。商取引の現場では「代理商」、「問屋」、「仲買人」という意味になりますので、資金調達の取引上ファクタリングは売掛債権を資金化するための代理商という意味で使われています。
では、このファクタリングは実際にはどのようなものなのかこのページで解説していきます。
ファクタリングの意味とは?資金調達取引の基本
ファクタリングがどういったものかと言うと、企業が保有する売掛債権をファクタリングをサービスとして扱っている会社に売却することで実際の入金日より早く現金化するという資金調達の手段の1つです。
最近このファクタリングの利用が拡大していますが、何故なのでしょうか。
以下で解説していきます。
ファクタリングが増加する背景
ファクタリングは海外では古くから利用されている商取引のひとつですが、日本ではまだまだ経営者に受け入れられている状況ではありません。
海外の商取引では効率の良いことがなにより優先ですが、日本では、どの業界も昔から信頼関係を重んじ、リスキーな取引を好みませんでした。
このことから、売掛債権といういわば自社との繋がりである信頼関係を、第三者に売るという行為を受け入れることがなかなか出来ずにいました。
ご存知のように日本の信用取引において核となるのは掛け取引です。
まず、お互いに信頼関係を築きその後契約をしてから商品の受け渡し、請求書の発行を経て、翌月または翌々月にようやく代金を受け取ることができます。
高い人件費、営業活動の経費、そして仕入れにかかるコストなど、資金がなくては会社は立ち行きませんので、資金力のない企業は代金の回収ができるまでの間、銀行から融資を受けてしのいできました。
しかも、返済しなければならない銀行融資は、資金繰りに苦しむ経営者にとって苦行以外の何者でもありません。
また、売掛金がすべて回収できるかどうか不明です。
手形の不渡り、得意先の倒産などがあると、立ちどころに資金ショートしてしまいます。
会社の雲行きが怪しくなると、社員は動揺を隠せずモチベーションは下がるでしょう。そうなれば営業活動にも悪影響は必至です。
では、売掛金が回収できるまでの間、経営者はただ待つしかないのでしょうか。
手形があれば、銀行が信用照会をして手形割引に応じてくれるかもしれません。
しかし、手形を持っていない企業は、資産である売掛債権を現金化するすべがありませんでした。
このような背景があって売掛債権を早期に現金化できるファクタリングを、資金繰りに利用する企業が増えてきたのです。
銀行融資と比べるその仕組み。手数料や譲渡できる売掛金の種類は?
ファクタリングは銀行融資と比べるとどう違うのかを詳しく見ていきましょう。
ファクタリングの基本的な仕組み
ファクタリングは、今ある売掛債権を現金化する資金調達方法です。
ファクタリング会社により違いはありますが、最短で即日資金を調達すること可能です。
取引先の売掛債権をファクタリング会社が買い取り、企業は現金を手にすることができます。
ファクタリングはすばやく売掛債権を現金化できるため、資金力のない企業にとっては非常に重宝するでしょう。
ファクタリングには、「2社間ファクタリング」と、「3社間ファクタリング」があります。
3社間ファクタリングは、取引先と企業、そしてファクタリング会社の3社間で取引が行われます。
- 企業がファクタリング企業に債権買い取りを申し込む
- ファクタリング会社は買い取り代金を企業に支払う
- 取引先はファクタリング会社に通常の支払期限通り支払う
3社間ファクタリングの大きな特徴は、取引先に売掛債権をファクタリング会社に売却することを伝えなければならないことです。
これは先述したように、売掛債権を譲渡するということ、引いては信用取引が失われると感じる経営者が日本にはまだ多くいますので、「資金繰りが悪化しているのでは?」という疑惑を持たれてしまうリスクもあります。
しかし、3社間ファクタリングは取引先の同意さえ得られれば、手数料は後述する2社間ファクタリングより安くなります。
一方で2社間ファクタリングは、申し込み企業とファクタリング会社の2社間で取引が行われます。
2社間ファクタリングは、文字通り企業とファクタリング会社の2社間で取引が行われます。
- 企業がファクタリング企業に債権買い取りを申し込む
- ファクタリング会社は買い取り代金を企業に支払う
- 取引先は支払期限どおり企業に支払う
- 企業がファクタリング会社入金された債権の代金をそのまま支払う
という流れになります。
3者間との大きな違いは、取引先へ売掛債権の譲渡の通知をしなくても良いということです
。
そのかわり、2社間ファクタリングよりは手数料は割高になります。
ファクタリングの手数料
ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングを選ぶのか3社間ファクタリングを選ぶのかによって大きく違ってきます。
それぞれの相場観を比べてみると、
2社間ファクタリング・・・売掛債権の10%~30%
3社間ファクタリング・・・売掛債権の1%~5%
となります。2社間と3社間との数字に大きく差があることがわかります。
取引先への通知を免れたい場合は、手数料が高くなりますが2社間を、取引先の同意を得られそうだと言う場合は迷わず3者間を選べばよいということになりますね。
譲渡できる売掛債権の種類
ファクタリング会社に譲渡できる売掛債権の種類をみていきましょう。譲渡できる売掛債権は次のようなものがあります。
- 通常の売掛金
- 医療報酬債権
- 介護給付債権
まず、ファクタリング会社は通常の売掛債権を早期に現金化することができます。
ファクタリングと呼ばれるものの多くがこの売掛債権のファクタリングを指します。
医療報酬債権は、病院が持つ社会保険や国民健康保険の売掛金を使ってファクタリングで資金を調達できます。
取引先が国になるため審査に通りやすく、手数料が相場より安いことが特徴です。
介護給付債権は、訪問ケア、施設入所などによって受けるサービスに支払われる給付金をファクタリングで現金化することができます。
債権の支払いを待つ必要なし!会社のメリットとは?
ファクタリングを利用すると様々なメリットがあります。
ファクタリングでどのような恩恵が受けられるのか次項で説明していきます。
審査が簡単。すぐに資金調達
ファクタリングの審査の基準はファクタリングを申し込んだ企業ではなく、取引先になります。
そのため、企業が赤字でも銀行から融資を断られていても利用することができます。
審査は非常に簡単で、売掛債権をすぐに現金化することができます。
取引先が倒産しても返済義務がない
ファクタリング会社は、売掛債権を買い取って資金を提供しています。
万一、売掛先が倒産しても企業に返済の義務はありません。
代金回収や信用調査をアウトソーシング
ファクタリングを利用するとキャッシュフローが改善します。
「先々の入金を前倒ししているだけ」と思われるかもしれませんが、実際には売掛金の回収が早くなるとそれだけ資金の回転が早くなり、キャッシュフローが改善していきます。
また、ファクタリングを利用すると、ファクタリング会社が取引先の信用調査をしてくれるので貸し倒れリスクを事前に調査も可能ですし、代金回収もファクタリング会社に任せられることもあります。
最後に
ファクタリングの意味がよく分からないという経営者の方にも、その仕組みをお分かりいただけたでしょうか。
- 最短で即日に現金化できる
- 融資ではないので返済の義務がない
- キャッシュフローの正常化
以上のようにファクタリングには多くのメリットが存在しているので、ファクタリングの意味が分かれば、資金調達の一つとして活用できます。