
資金調達はできる?でんさいファクタリングのサービスとは
でんさい、ファクタリング、でんさいファクタリング・・・?
売掛債権売却に関する言葉はどれも似ていて、その違いを完璧に理解している方は少ないです。
簡単に言うと、でんさいファクタリングとはでんさい(電子記録債権)の仕組みを使ったファクタリングサービスのこと。
支払企業による「でんさい」での支払いに、納入企業向けのファクタリングが組み合わされた金融サービスです。
でんさいファクタリングを使えば、決済手段の多様化や資金繰りの改善に役立てることができます。
以下でその言葉の違いから仕組みまで詳しく解説していきます。
でんさい(一括)ファクタリングとは?その仕組みを解説
でんさいファクタリングと聞いてもその意味と仕組みを答えられる人は少ないです。
以下では簡単に概要を掴めるように、でんさいファクタリングの意味や仕組みについて詳しく説明していきます。
「でんさいファクタリング」とは
「でんさいファクタリング」は「でんさい」の仕組みを使った「ファクタリング」です。
そもそもでんさいは電子記録債権(でんしきろくさいけん)の略語で、 企業間の売上債権を電子的に記録して管理する仕組みのこと。
ファクタリングは売掛債権の譲渡をするサービスのことを言います。
つまり、でんさいとファクタリングの仕組みを両方合わせたのがでんさいファクタリングです。
次項では、でんさいファクタリングの詳しい仕組みをわかりやすく説明していきます。
でんさいファクタリングの仕組み
でんさいファクタリングの基本的な仕組みは次のようになっています。
でんさいファクタリングはできて間もないサービスです。取扱銀行により仕組みが異なるので、基本となる一例を紹介します。
まず、① ファクタリング会社・支払企業・納入企業の3社間で契約を結びます。
②代金の支払いをする支払企業と商品を納入する納入企業の間で商取引が行われた際に、③支払企業はでんさいネットに債務の発生記録を行い、でんさいネットから債権が発生したことが通知されます。
ここまでは、通常のでんさいと同じ扱いです。
納入企業がファクタリングしたい場合は、⑤ファクタリング会社に債権を譲渡して現金を受け取ります。
ファクタリング会社はでんさいネットに債権が譲渡されたことを記録し、支払い企業が代金を支払う際は納品企業ではなく、ファクタリング会社に送金するという手順です。
これがでんさいファクタリングを使った一連の商取引の流れとなります。
電子記録債権譲渡との違いを比較
ここまででんさいファクタリングの意味と仕組みを説明してきましたが、でんさいファクタリングと混同されやすい取引があります。
それは「通常のファクタリング」、「でんさいを利用した債権譲渡」と「でんさい割引」です。
以下ではその3つの取引を説明し、でんさいファクタリングとの違いを解説します。
通常のファクタリング
ファクタリングは保有する金銭債権をファクタリング会社が買い取るサービスです。
来月に入金される予定の債権をファクタリング会社に譲渡することで、早期に資金にすることができます。
でんさいファクタリングは通常のファクタリングの仕組みと同じで、その取引が書面か電子かという違いだけです。
でんさいを利用した債権譲渡
次に間違われやすいでんさいを利用した債権譲渡・割引とでんさいファクタリングの違いを説明します。
まず、でんさいを利用した債権譲渡とは電子債券を支払いのために譲渡することを言います。
上の図を見て頂くと分かる通り、Y社は手元にあるX社の電子債券をZ社の支払いに利用します。
これだけで少しピンときたからもいるかもしれません。
そう、でんさいを利用した債権譲渡は、受取手形の裏書譲渡と同じイメージです。
つまりでんさいを利用した債権譲渡はでんさいファクタリングに似ているようで全く異なる性質の契約なのです。
でんさい割引
次に、でんさいを利用したでんさい割引もでんさいファクタリングと混同されるので詳しく解説します。
でんさい割引は、期日前の電子債券を銀行に売却して資金調達を行う方法です。
このような説明だけですと「でんさいファクタリングと同じなのでは?」と思う方も多いですが、でんさい割引はでんさいファクタリングとは違います。
手形割引を想像していただければ理解しやすいのですが、例えばY社が持っている電子債券を支払期日前にB銀行に買い取ってもらいます。
すると1000万円であった電子債券は950万円の現金となって支払われます。
この例では、差額の50万円が銀行が徴収する手数料ということです。
ここまではでんさいファクタリングに似ていますよね。
でも、もしもX社が支払いをしなかったらY社は代わりに銀行に支払いをしなければいけないので、でんさい割引はリコース契約です。
反対にでんさいファクタリングは売掛先が倒産しても支払いの義務がないノンリコース契約。
でんさいファクタリングはでんさいネット上のファクタリング、でんさい割引はでんさいネット上の手形割引と考えると良いでしょう。
続いて、でんさいファクタリングのメリットやデメリットを以下で紹介していきます。
でんさいファクタリングのメリットとデメリット
でんさいファクタリングはでんさいとファクタリングの掛け合わせなので、でんさいのメリットとファクタリングのメリットをどちらも享受できます。
まずは、支払企業にとってのメリットについて紹介していきましょう。
支払企業のメリット
でんさいを利用する支払企業のメリットは、 事務負担の軽減と支払い手段の一元化です。
でんさいは、ペーパーレスの電子記録債権であるため、手形のように押印などが必要となることはなく、手形の発行作業や振替の準備などの手続きを簡略化できます。
支払記録もデータとしてきちんと残っているので、支払い後の確認や集計も楽にでき、事務手続きの負担が軽減されるでしょう。
さらに、インターネットで手続きや決済を行うことになるので搬送コストの削減、それに加えて印紙税も必要ありません。
でんさいを活用すれば手形や振込、一括決済など複数の支払手段を一本化することができ、支払業務に係る手続きを効率化を図れます。
もちろん、でんさいは支払企業だけではなく、納入企業にとってもでんさいを導入するメリットは数多くあります。
納入企業のメリット
納入企業がでんさいを導入すれば、紛失や盗難のリスク回避、分割譲渡、取立が不要になるといったメリットがあります。
従来の決済手段として使われていた手形は、紛失や盗難の危険性が常にありましたが、でんさいはインターネット上に保管されるので、リスクを避けることができるのです。
また、でんさいを活用すれば受け取った電子債権から必要な分だけ譲渡したり、分割割引をすることが可能です。
通常のファクタリングでは売掛債権のこの金額だけを現金化したいという希望が通りませんが、でんさいファクタリングなら電子債権から必要な分だけをファクタリング会社に譲渡することもできます。
また電子的な決済ですので電子債券を取り立てる手間も省け、ファクタリング会社に譲渡した債権が即日で資金化できるというメリットもあります。
でんさいファクタリングには以上のようなメリットがありますが、もちろんデメリットも存在しています。
でんさいファクタリングのデメリット
でんさいファクタリングのデメリットは「でんさい」を導入するデメリットと同じで、導入時に会計処理が一変することです。
これまで受取手形や支払手形として使っていた勘定科目を電子記録債権や電子記録債務に変更しなければならないので中小企業や小規模企業にとっては大きなデメリットでしょう。
ただし、会計処理の変更というデメリットは、一時的なものなので慣れてしまえば問題ないはずです。
最後に
でんさいを使えば、従来から決済手段として活用されていた手形の手間を大幅に低減することができるので、中小企業・小規模事業者の円滑な資金調達手段としての役割が期待されています。
でんさいファクタリングを役立てれば、円滑な決済と資金調達の両方が実現できるのです。
しかしでんさいファクタリングを利用するには、でんさいの導入が必要不可欠なのででんさいについての記事も参考にしてください。