
資金調達にかかせない、でんさいとファクタリングの違いとは?
資金調達を考えた時に、インターネットででんさいやファクタリングという言葉がでてきますよね。
聞きなれない単語ですのでその違いや仕組みについて疑問をお持ちなのではないでしょうか?
ただし、この2つは全く違うものなのです。

そこで、この記事ではでんさいとファクタリングの違いと共通点について説明します。
でんさいとファクタリングの仕組みにはそもそも違いがある
「でんさい」と「ファクタリング」は聞きなれない言葉なので違いについて知りたいという声が多いですが、そもそもでんさいとファクタリングは全くの別物です。
しかも、最近では、「でんさいファクタリング」という2つの違うものを組み合わせた言葉まで生まれているので余計にややこしくなっています。
そこで以下では、でんさいとファクタリング、でんさいファクタリングについてそれぞれを詳しく説明していきます。
まずはでんさいについて見ていきましょう。
でんさいとは
でんさいとは、「電子記録債権」の略称で、手形債権・指名債権(売掛債権)の問題点を克服した電子上の金銭債権です。
電子記録法(平成19年法律第102号)により、事業者の資金調達の円滑化等を図るために創設された新しい金銭債権で、この法律は平成20年12月1日から施行されています。
従来、金銭債権を活用した事業者の資金調達方法としては、取引関係にある企業相互間で売掛金や振り出された手形を譲渡したり、質入れしたりする方法がありました。
しかし、売掛金を譲渡したり質入れしたりする場合、譲渡等の対象である債権がそもそも存在するかどうかを確認したり、その債権は誰に帰属するものなのかを確認するのには手間とコストが必要となる上に、同じ債権を異なる2人の相手方に譲渡してしまうリスクがありました。
また、手形を譲渡したり、質入れしたりする場合にも、企業の事務手続きのIT化が進行するなかで、紙媒体をベースとする手形は保管コストや紛失等のリスク等の問題があり、最近では手形の利用自体が大幅に減少しています。
そうした背景のもとで、売掛金や手形を使った資金調達方法の限界が指摘されるようになり、事業者の円滑な資金調達を図ることの必要性が求められたのです。
そこで電子的な記録によって権利内容を確定し、もって取引の安全性と流動性を確保することでその利用者を保護することを目的とした新たな制度として「でんさい」は創設されました。
つまり、でんさいはあくまでも電子化された債権という位置づけです。
ファクタリングとは
ここまでは、でんさい(電子記録債権)について詳しく説明を行ってきました。
ここからは、よく「でんさい」と混同されている「ファクタリング」について説明をしていきます。
ファクタリングとは、債権を期日前に譲渡して資金調達する金融サービスのことをいいます。
金融機関と中小企業・小規模事業者がファクタリング契約を行うことによって、中小企業・小規模事業者は所有する金銭債権を金融機関等のファクタリング会社に譲渡し、期日よりも前に金銭債権を現金化できるのです。
また金融機関が債務者の信用リスクと債権回収管理事務を引き受けてくれるため、貸倒れリスクも軽減することが可能となります。
したがって、金銭債権を早期に現金化できる仕組みであることから、中小企業・小規模事業者にとってファクタリングは資金調達の一つの方法として位置づけられています。
でんさいファクタリングとは
ここまでは、でんさいとファクタリングについてそれぞれ詳しく説明を行ってきました。
でんさいとは電子記録債権、つまり債権を意味する言葉です。
ファクタリングは、第三者に債権を譲渡するサービスのことを意味します。
一方、でんさいファクタリングはその名の通り、でんさいを活用したファクタリングサービスです。
電子記録債権をファクタリングすることを意味しているだけなので、基本的な仕組みは従来のファクタリングと同じ。
ファクタリング会社と取引される債権が、売掛金や手形ではなく、電子記録債権という違いがあるだけとなります。
2つの債権譲渡方法における共通点と相違点
ここまで「でんさい」「ファクタリング」「でんさいファクタリング」のそれぞれの特徴について詳しく解説しました。
でんさいはあくまでも電子上の債権を表す言葉であり、そもそもファクタリングと比較する言葉ではありません。
ファクタリングと比べるとしたらでんさいファクタリングになるのです。
そこで次に「でんさいファクタリング」と「ファクタリング」の共通点と相違点について理解しておきましょう。
共通点【でんさいファクタリングVSファクタリング】
でんさいファクタリングとファクタリングの共通点は、どちらも第三者であるファクタリング会社との間で行う債権の譲渡取引であるということです。
でんさいファクタリングでは電子債権を、ファクタリングでは金銭債権をファクタリング会社に譲渡することによって、現金を受け取ることになります。
でんさいファクタリングもファクタリングも、中小企業・小規模事業者にとっては期日前に債権を現金化できる資金調達の方法であると同時に、債権の管理・回収業務を外部化することできるので、債権管理にかかる時間や手間を節約することができ、債権の貸倒リスクを低減できるのです。
相違点【でんさいファクタリングVSファクタリング】
でんさいファクタリングとファクタリングの最も大きな違いは、債権の違い にあります。
でんさいファクタリングは、電子記録債権がファクタリング会社との取引の対象となりますが、ファクタリングは金銭債権(売掛金・受取手形など)がファクタリング会社との取引の対象です。
電子記録債権の譲渡をするでんさいファクタリングはインターネット上で取引が行われ、通常のファクタリングは売掛金と手形を紙面で取引することになります。
利用するならどちら?メリット・デメリット
今まで、でんさいファクタリングとファクタリングの共通点と相違点について詳しく説明してきました。
でんさいとファクタリングは比較できる言葉ではないということと、でんさいファクタリングとファクタリングの共通点と相違点はお分かりいただけたでしょうか。
でんさいファクタリングとファクタリングの共通点と相違点が理解できるようになったら、次はでんさいファクタリングとファクタリングに関してそれぞれメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。
それぞれのメリットとデメリットを理解しておけば、自分の会社に合った方法で資金調達が可能となります。
以下では、まずでんさいファクタリングのメリットとデメリットについて詳しく解説し、そのあとでファクタリングのメリットとデメリットについても説明していきます。
でんさいファクタリングのメリットとデメリット
でんさいファクタリングのメリットは全部で3つあります。
まず一つ目に、事務手続きの簡略化です。
ファクタリングにかかる手数料も軽減するすることができ、売掛金の管理の際に必要となる手書きの記帳や取引先の管理、押印の必要もなくなりますし、ファクタリング会社に出向く必要もなく、その際に必要となる書類を準備する必要もありません。
結果として、手数料をおさえられ、本業の事業で忙しい中小企業・小規模事業者であっても、インターネットを使って容易に資金が調達できます。
二つ目に、でんさいファクタリングは債権の分割が可能なので、債権のうち必要な分だけを分割してファクタリングを活用することができます。
電子債権での取引なので、売掛金や手形のような金銭債権とは違って、債権を分割してファクタリング会社に譲渡することが可能なのです。
三つ目に、でんさいファクタリングでは、債権を譲渡してから入金されるまでの時間がほとんどかからないため 柔軟でスピーディな資金調達が実現できます。
次に、でんさいファクタリングのデメリットについて説明していきましょう。
でんさいファクタリング最大のデメリットはでんさいファクタリングに対応できるファクタリング会社が少ないことです。
加えて、でんさいファクタリングを利用するためには、中小企業・小規模事業者と取引先、そして金融機関が同じでんさいネットワークを使用しているという条件があります。
でんさいファクタリングを利用できるという条件にたどり着くまでがデメリットとなるわけです。
ファクタリングのメリットとデメリット
でんさいファクタリングと比べた時の通常のファクタリングのメリットは、誰でもすぐに利用できるということです。
でんさいファクタリングは諸条件がたくさんありましたが、通常のファクタリングは債権を電子化することもなく、最短即日で売掛債権を現金化できてしまいます。
一方、ファクタリングのデメリットとしては、手数料が比較的高く設定されているということです。
この手数料は、銀行や金融機関から融資を受ける際に発生する金利に相当するものであり、通常金利よりも高めに設定されることが多いです。
そのため、中小企業・小規模事業者にとっては融資を受けるよりも簡単に資金が調達できる一方で、銀行や金融機関から融資を受けるよりも多くの手数料を支払わなければなりません。
最後に
この記事では、でんさい、ファクタリング、でんさいファクタリングの関係について解説してきました。
言葉が似ていて分かりにくいのですが、各々の意味が分かれれば簡単ですよね。
でんさいファクタリングについては、詳しく説明している記事もありますので合わせてご覧ください。